新潟市の「沼垂」(ぬったり)と呼ばれる地域は、古来より北前船が来航する港町として繁栄してきた。沼垂から信濃川に流れ込む栗ノ木川に沿って、味噌・酒・醤油・納豆の蔵元が建ち並び、現在は8社が中心になって「醗酵食品の町・沼垂」をアピールしている。このうち味噌漬けを製造・販売している「峰村商店」を訪ねてみた。
創業は明治38年で、大正10年ごろから味噌漬けを始めたそうだ。木樽に入れた味噌を各地に発送していたときに、サービスとして樽の中に1本だけ大根を入れたのがきっかけだった。味噌が届くころにはちょうどいい味噌漬けができあがっていて、受け取ったお客さんも驚き、喜んでくれたという。新潟では最初の味噌漬けメーカーで、しだいに種類を増やしてきた。
「特選べっこうみそ漬け」は、大根・キュウリ・ナス・ゴボウ、山ウド・フキノトウが飴色に漬け込まれた逸品。歯切れがよく、米麹をたっぷり含んだ味噌の風味は、ほのかな甘味を感じさせる。