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第28回 和歌山県

 有機JAS認証制度が始まったのは平成13年4月で、丸惣の梅干しは登録開始から3日目に認証され、和歌山県では第一号だった。その背景には、時代を先読みして、有機栽培に取り組んでいたことがある。有機JASの規定には「最初の収穫前3年以上の間、堆肥等による土作りを行った圃場(ほじょう)において生産された農産物」とある。つまり、有機栽培を始めても、3年経たないと有機JASの認証が得られないのだ。

和歌山のブランド梅・紀州南高梅

 梅の最高品種とされる「南高梅」は、皮が薄くて、果実が非常に大きく、肉厚で柔らかいのが特徴。和歌山県のみなべ町が発祥の地といわれている。明治35年、高田貞楠氏が購入した60本の苗木の中に、実が大きくて収量が多い木があることに気づき、その木を母樹(高田梅)にして自宅近くの畑で育ててきた。そして昭和25年に優良母樹調査選定委員会が設立され、5年の選抜調査を経て、ほかの品種の群を抜いて高田梅が優良であると認められ、昭和40年に「南高梅」と名づけられて種苗登録された。
 日本人に親しまれてきた梅には、暮らしに関係する言葉がたくさんある。例えば「塩梅(あんばい)」という言葉は、料理の味加減がいいことを指し、かつて調味料として梅酢が使われていたことからきている。

また「梅雨(つゆ)」という言葉からわかるように、梅が育つには雨が欠かせない。梅雨は梅にとって恵みの雨で、この時期に梅の実は大きく膨らんでいく。「梅干しの日本一の生産量をほこる和歌山県で、より品質のいいものを作りたいと考えた結果、品種改良ではなく、トッププランドの南高梅の有機栽培に取り組もうと思いました」
 そう話すのは、有限会社丸惣・2代目社長の芝邦浩さん。昭和40年に創業して以来、伝統的な紀州梅干しの味を守りながらも、常に新しいおいしさを求めてきた。前会長の芝耕三郎さんは「南高梅保存研究会」を農家4名と立ち上げ、農薬や化学肥料を使わない栽培を始めたという。当時、ミミズのエサに梅を加えたところ、ミミズの糞の成分がすごくよくなったそうだ。


ったほうが、ぷりっとした完熟の実を収穫できるんです。完熟して落ちた梅は、杏みたいに皮を向いて生で食べられるんですよ」
 枝から採った実と落ちている実を比べてみると、枝から採ったものは梅の香りがしなくて、落ちた実はすごくいい匂いがしている。
 丸惣の芝社長は「手間とコストを考えると厳しいが、有機の梅干しが欲しいというお客さんが増えてきている」と分析する。契約農家を増やして栽培面積を広げれば、生産量も増えるはずだが、有機JASで認定されるまで3年かかるのでハードルが高い。

“箱入り娘”を有機栽培で育てる


 丸惣で契約している有機栽培の農家は4軒。そのうちのひとり、那須健人さんの梅畑を訪ねて、有機栽培の苦労を伺った。
 「最初に有機に取り組んだのは15年くらい前ですね。畑の広さは約30アールあります。南高梅を有機で栽培できたらいいなとは思いましたが、こんなに苦労するとは思いませんでした。南高梅は“箱入り娘”なんですよ」
 那須さんによると、もっと育てやすい品種の梅はたくさんあるらしい。南高梅は粒が大きくてよく実る一方で、病気や虫害に弱い。ほかの畑から農薬が飛んでこない場所を選んだので、谷間になって陽当たりがあまりよくないことも影響しているようだ。ようやく3年くらい前から、安定して収穫できるようになった。
 農薬や化学肥料を使わなくなって、
2〜3年目くらいから病気が増えてきた。化学肥料はすぐに効くけど、有機肥料は時間がかかるのだ。そうやって我慢しているうちに、根が深いところまで張って自分で養分を探すようになり、一方で土の中にも微生物が増えてきて、肥料をやらなくても元気に育つようになった。
 「有機栽培でも、こんなにきれいな梅ができることを知ってほしいし、そういう品質のものを作っていきたいですね。自然の力を借りて健康な梅をみなさんに届けたいと思います」
 梅の木は、2月に花が咲き、5月に実がなって、6月から収穫が始まる。梅の木の下には青いネットが一面に張られている。どうやら、枝から収穫するのではなく、落ちた実を拾うらしい。
 「枝から採った実は、横幅が少し細いんです。梅の実は、落ちる直前がいちばん大きくなるので、落ちたものを毎日拾
 梅干しを一粒食べておくと、その日一日、災難や病魔から逃れられる「梅はその日の難逃れ」という言い伝えや、風邪の初期には梅干しを入れた番茶を飲む「番茶梅干し医者いらず」という言葉もある。
 梅干しには、昔から七効(健胃、発汗、固腸、解熱、殺菌、消毒、防腐)があるといわれている。日本人の生活になくてはならないものとして重宝され、健康を維持する食生活として受け継がれてきた。

最近では、これまで言い伝えだった梅の効果を、医学的・科学的に証明する研究が進んでいる。

梅と梅酢の思いがけない効能

 和歌山のある地方では、夏場に弱った鶏に、梅干しを作ったときにできる梅酢を飲ませる風習があるらしい。
 2005年に発売され、3年後には「地鶏・銘柄鶏食味コンテスト」で最優秀賞に選ばれた「紀州うめどり」は、そんな梅酢の効能に注目して開発された鶏肉だ。
塩分を抜いて1,000倍くらいに薄めた梅酢エキスを鶏のエサに混ぜたところ、鶏自身の内臓脂肪が減少し、病気に対する抵抗力が高まったという。そのうえ肉質は弾力があってジューシーで、雑味が少ないと好評だ。
 また、みなべ町では、梅酢を洗面所に常備し、外出から戻ると、7〜8倍の水で薄めてうがいをする習慣があるという。インフルエンザや風邪が流行する季節になると、県内の学校や幼稚園でもこの習慣を取り入れて、風邪の予防に効果を上げている。さらに、同町の人たちは梅干しを毎日1〜3個食べて、病気にかかりにくい体づくりに努めているそうだ。

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