台湾の西北部に位置する新竹県の北埔(ベイプー)は、180年ほど前に客家人によって開発され、住民の90%は客家人という典型的な客家の町。中国茶の「東方美人」の里としても知られている。
お茶の製造・販売をしている楊煥章(ヤン ファンジャン)さんのお宅を訪ねて、客家人が作っている漬け物を見せてもらった。

「ほとんどの漬け物は、旧正月の前に漬けて保存しておいたものです。芥菜(ヅェツァイ)を使った梅干(メイガン)のほか、 50~60cmの豆を使った豆干(ドウガン)、大根を使った蘿蔔(ルォウブォウ)を用意しました」
客家の代表的な漬け物として知られるのが「福菜(フーツァィ)」だろう。お米を収穫したあとを畑にして、そこで採れたカラシナを漬け物にするという。天日で干してから、かめに入れて粗塩を振り、2週間ほど漬ける。


日本の漬け物はこの段階で食卓に上るが、客家の漬け物は、塩漬けしたものをさらに3~4日ほど天日に干して、乾物にしてしまうところが興味深い。
「台湾は湿度が高いので、干さないと雑菌が繁殖してしまうんです。干したほうが保存しやすいし、味もいいことに気づいたのでしょう。この辺りの客家は北部や南部にいる客家とも違う食文化で、塩だけを使った昔ながらの作り方を守っています」
福菜よりもさらに天日でカラカラに乾燥させたカラシナを使ったものが「梅干(メイガン)」である。乾燥ぐあいによって、

しっとりした仕上がりになったり、パリパリの食感になるという。また、福菜も梅干も、2~4年以上経ったものがおいしいそうだ。
楊さんのお宅には、20年前に作ったという