東海漬物
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第34回 大分県 日本三大漬菜といわれているものに、長野の「野沢菜」、広島の「広島菜」、九州の「高菜」がある。さらに九州の高菜には、熊本の「阿蘇高菜」、福岡の「三池高菜」、大分の「久住高菜」というように、地域ごとの品種が栽培されている。第27回(熊本編)の「阿蘇高菜」に続き、今回は「久住高菜」の産地を訪ねた。

(左)ギザギザの葉が特徴のひとつ。寒冷地でないとうまく育たないという (右)手で曲げて、ポキッと折れるところから収穫するのがポイント手でポキッと折れるところから上の茎を漬け物にすると、柔らかい本来の高菜漬けになるという。
 「昔ながらの本物の久住高菜漬けを知ってもらおうと、10年以上前から昼食付の漬け込みイベントを開催するようになり、たくさんの人が漬け込みを体験してくれました」
 イベントに使う「久住高菜」はすべて委託栽培で、それをNPOで買い上げているそうだ。ただ、3年前に無人販売所ができてから、生の葉を購入して自分の好みで漬ける人が増えてきた。それだけ、地域に広がっているということだろうか。好評だった久住高菜漬け体験イベント(上好温さん提供)

一本ずつ手で折って収穫する

収穫作業は1本ずつ、手作業で行なわれる。この畑では、近所の人たちが手伝っていた 久住高菜の産地である久住高原は、くじゅう連山の南山麓の竹田市久住町(くじゅうまち)にある。 九州本土最高峰の山を抱く一帯は阿蘇くじゅう国立公園に指定されている。
 くじゅう連山の北側には、玖珠川(くすがわ)の源流になっている複数の水源があり、筑後川で有明海に注ぐまで流域が続いている。以前、本シリーズ第31回の福岡編で久留米市の「山汐漬」を取材したときに、筑後川の源流から種が運ばれて、自生したのが始まりだと聞いた。もしかしたら、そのルーツは「久住高菜」にあるのかもしれない。
 一方の「阿蘇高菜」と比べると、品種はかなり近いようだ。標高600m、マイナス10度になるという高原で育った「久住高菜」は、葉がギザギザしており、茎が柔らかいのが特徴。地元の人によると、「阿蘇高菜」と比べてやや辛みが
強いという。
 「久住高菜は秋に種を蒔いて春先に収穫します。この地域の厳しい寒さを超えないと、久住高菜特有の風味や辛みが出ません。ほかの地域でこの種を蒔いても、同じものができないんですよ」
 そう話すのは、NPO法人「久住高原みちくさ案内人倶楽部」理事長の上好温(かみよし あつし)さん。環境省の自然公園指導員でもある上好さんは、NPOを立ち上げた10年くらい前に、久住町で親しまれている高菜漬けを、町の特産品にできないかと考えたそうだ。
昔ながらの久住高菜を復活させた、上好温さん 「実は30年くらい前にも高菜を栽培し、漬け物にして販売する取組みがありました。ただ、段々と収穫の丁寧さが失われ、久住高菜本来の柔らかさがなくなるなどして、事業としては長続きしなかったようです」
 阿蘇高菜と同じように、久住高菜の収穫方法も、春先の柔らかい新芽を手で一本ずつ折らなければいけないようだ。
塩もみした高菜を桶に並べ、塩と唐辛子を加えて、交互に積み重ねていく。
 「空気が入らないように、 しっかり押さえながら漬けます。1年以上持たせようと思ったら、塩分濃度は6%くらいがいいですね。塩分が少ないと汁が出にくいし、一晩で汁が上がらないと臭くなって、硬くなってしまいます。私たちは『よかろうこうばい』と言って、目分量でやることがほとんどですが……」
 地元言葉の「よかろうこうばい」というのは、「いいあんばい」という意味のようだ。汁が上がってきたら、重しを軽くしていき、1~2か月かけて漬け汁を取り除く。
塩もみした高菜を桶に並べ、塩と唐辛子を加えて、しっかり押さえながら漬け込む 「私は、塩と唐辛子のほかに、きなこと大豆を加えています。これを入れると、長期間漬けておいても、色が落ちにくくて、香りもよくなるんですよ」

丸一日天日干しすることで、さらに甘味が増す

 久住高菜のほとんどが、自家用の畑で栽培されている。春に1年分の高菜漬けを漬け込み、一部を残して自家採種し、翌年に備えている。
 「種蒔きは11月ごろ。間引きをしなくて済むように、適度な密度で蒔くことが大事です。芽が出たときに間隔が狭いと茎が細くなり、広すぎると茎が太くて硬くなってしまいます」
 高菜の種はすごく小さいため、慣れていないと蒔く量が多くなってしまうので、砂に種を混ぜてから畑に蒔く人もいるようだ。また畑の土が肥えていないとうまく育「私はいつも『よかろうこうばい』だから」と、漬け物名人の湯地恵子さんたないため、有機肥料をたくさんすき込んでいるという。葉に辛味成分があるせいか、虫に食われることはなく、完全無農薬で栽培している。
 収穫時期は3月下旬ごろ。トウ立ちした茎を折って束ねて、茎を食べるため上側の葉は切り落としてしまう。
(左)50cmほどに育った根元の少し上で折り、束ねてから上の葉を切り落とす (右)天日干しした高菜を束のまま塩でもんで柔らかくしてから、右の桶に漬け込むそれをゴザなどに広げて、天日で1~2時間干してから、漬け込み作業に進む。干すことで茎が少し柔らかくなり、桶に詰めやすいそうだ。
 収穫作業に参加していた、漬け物名人の湯地恵子(ゆじ やすこ)さんに、久住高菜漬けの手順を教わった。
 「天日干しした高菜を塩でもんで、柔らかくしてから桶に漬けます。昔は『高菜に宿を貸すな』と言われたほど、早く漬けたほうがいいと教わりましたが、丸一日くらい、裏返して干したほうが甘味があって、漬けたあとの汁が少ないような気がしています」
 木桶ではなくプラスチックの桶になってからは、内側にビニール袋を入れるようになった。
おいしさが独特です」
 収穫作業が一段落したころ、湯地さんは、お茶請けにたくさんの漬け物を出してくれた。らっきょうキムチ、ハクサイ即席漬け(塩麹、キムチ)、ぜいたく漬け(大根、切り干しのニンジン、梅、昆布、スルメイカ、トウガラシ)のほか、菊芋、ヤーコン、セロリ、ハヤトウリなどを味噌と粕で漬けたものもあった。
 畑での取材を終えた後、地元の主婦4人が中心となって運営している「まんじゅうハウス」に立ち寄った。保存剤を使わず、 秘伝の製法で作られる素朴な味の「まんじゅう」が、年間50万個も売れているという。酒まんじゅう、黒砂糖まんじゅう、タンサンまんじゅうが並ぶなかで、久住高菜を使った高菜まんじゅうだけは、我々が行ったときには最後の

一個を残すのみだった。 「まんじゅうハウス」の「高菜まんじゅう」は予約で完売してしまうこともあるそうだ

乳酸発酵した「黄色い」古漬けが人気

手前が、1年以上漬け込まれた「久住高菜」の古漬け。奥にあるのが漬けてから1か月くらい経ったもの 漬けてから1週間くらいで食べられるようになるが、3か月以上漬けた味が人気のようだ。なかには「1年くらい経った
湯地さんが持ってきてくれた漬け物。どれも違う味わいで、お茶請けにもご飯のお供にもぴったり黄色いのが好き」という人もいて、香りがよく、ピリッと辛くなった古漬けが好まれる。刻んだものにゴマを加えてご飯にかけて食べたり、油炒めにしてチャーハンに加えたり、おにぎりの具にすることもある。
 「新漬けと古漬けは、高菜の香りもぜんぜん違いますね。浅漬けは独特の香りや歯ごたえがあり、古漬けは乳酸発酵の

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