芭蕉菜は8月下旬から9月上旬にかけて種をまき、10月から11月にかけて収穫する青菜で、主に漬物用として岩手県南部で親しまれている。葉は幅広く肉厚で、パリッとした食感が特徴。そのため、漬け込んでもしんなりせずに歯ごたえがあり、辛味があって、独特の風味が楽しめる。通常は40~50cmで収穫するが、栽培の仕方では80cm以上になり、ツケナ類の中でも葉が大きい。
東北から北関東にかけて「芭蕉菜」と呼ばれるツケナが栽培されているが、そのうちの「仙台芭蕉菜」はナタネの仲間で辛みが少ない。呼び名は似ているものの、辛みのある芭蕉菜と区別するために「仙台」という地名を付けたようだ。
一方、「芭蕉菜」はタカナの仲間で、山形県の名産である「山形青菜(やまがたせいさい)」と同じ系統といえる。山形青菜が山形県で栽培されるようになったのは、1908(明治41)年のこと。山形県農事試験場(現農業総合研究センター)で、奈良県から種子を導入し試作したところ、品質が優れていたことから栽培が始まった。