台湾には、海鮮中心の伝統的な「火鍋」、ピリ辛の「麻辣鍋」、マトンの「羊肉鍋」など、たくさんの鍋料理がある。そのなかでも、白菜の酸っぱい漬け物「酸菜」と薄切りの「白肉」(豚の三枚肉)をベースに、好みの具材を一緒に煮て食べる「酸菜白肉鍋」が人気を集めている。
鍋にたっぷり入れる「酸菜」は、中国の東北地方で常食されている乳酸発酵した白菜の漬け物。肉と一緒に刻んで炒めたり、スープの具材に使ったり、餃子の餡に加えたりする。酸味と塩味があるので、調味料的に使うことも多く、日本の漬け物のように、そのまま食べることは少ないようだ。
白菜と塩だけで自然発酵させる伝統的な酸菜は、野菜が少ない厳しい冬を乗り切るために生まれたという。ちなみに「白肉」のほうは、三枚肉をゆでてから形を整えて、さらに40〜50分蒸したものを冷凍し、食べる直前に薄切りにしている。ほとんどの脂が抜けて、あっさりしているのが特長だ。
2007年に台中でオープンした酸菜白肉鍋専門店「老舅的家郷味」は、今では海外からの国賓を迎えて公式晩餐会を開催するほどの有名店。2011年には台北支店も開店した。