京野菜をはじめ、日本各地で伝統野菜が見直されている。宮城県の伝統野菜事情を伺うために、宮城県仙台地方振興事務所の駒井真理子さんを訪ねた。「宮城県では県内の食材を利用した『地産地消推進店』の登録制度を設けて『食材王国みやぎ』をアピールしています。2007年からは宮城県の特産食材についての“語り部”となる『みやぎ食材伝道士』の制度をスタートさせました」
この制度は、ホテルや旅館の料理人などが、生産者のところで農作業を研修し、生産者と一緒になり、作業の苦労や収穫の喜びを分かち合い、生産者の食材にかける情熱を消費者に伝える役目を担っている。品目ごとに所定の作業を1品目実習した場合は「一つ星」、3品目実習した場合は「二つ星」、5品目以上(海産物、キノコ、青果物が含まれること)実習した場合は「三つ星」が認定される。
例えば、この「みやぎ食材伝道士」に「小瀬菜だいこんはどんな大根なの?」と聞いてみると、次のように説明してくれる。「呼び名は大根ですが、根は小さくて葉が1メートルほどに成長するので、主に葉の部分だけを食べる珍しい品種です。江戸時代の末期、宮城県にある小瀬菜地区で保存食として栽培されていたのが始まりで、主にツケ菜として利用されてきました」
鳴子町の鬼首地区で自家用に栽培している「鬼首菜」もツケ菜の一種で、ほどよい辛みと風味があり、根も含めて株全体を漬物にして、翌春まで食べているそうだ。