東海漬物
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第36回 千葉県【成田のお土産といえばピリッとした白うりの「鉄砲漬け」】 成田山・新勝寺のお土産として欠かせないのが、白うりの「鉄砲漬け」である。成田駅から徒歩10分、新勝寺前に伸びる表参道には漬物店が建ち並び、昔ながらの鉄砲漬けはもちろん、はぐらうりの浅漬け、奈良漬け、べったら漬けなど、さまざまな漬物が売られている。漬物の試食も、参拝の楽しみのひとつになっているようだ。

沢田漬物の沢田専務は「乳酸発酵した昔ながらの漬物のおいしさを知ってほしい」と言う。があり、お茶請けとしても親しまれている。
 「逆に、鉄砲漬けに使われるのは漬物用の白うりで、昔は「江戸川早生」という品種を使っていましたが、今は「東みどり」という品種を使っています。肉質が硬めでパリパリ感があるのが特徴ですね」

ピリッとした青唐辛子を火薬に見立てた名産品

 成田山の定番の土産「鉄砲漬け」は、白うりの内側をくりぬき、そこにしそを巻いた青唐辛子を詰めてから、醤油やみりんなどで漬け込んだもの。その製法が鉄砲に火薬を詰めるのに似ていることから、「鉄砲漬け」と呼ばれるようになった。
 食べてみると、コリコリした白うりの歯ごたえがあり、醤油としその香りが口の中に広がる。青唐辛子のピリッとした辛味のせいか、ご飯の供としても、お酒のおつまみにもちょうどいい。
 「元々、成田周辺はうり栽培が盛んで、成田山・新勝寺周辺の旅館や料亭で
漬物を出すうちに、参拝に来た人の土産物として定着したようです」
 そう話すのは、沢田漬物の専務取締役・沢田克洋さん。昭和35年に創業し、当初から鉄砲漬けを生産していたそうだ。
 沢田さんによると、農家で自家用に栽培しているのは、主に「はぐらうり」が多く、「歯がぐらぐらしている人でも噛みきれるほど柔らかい」ことから名づけられた品種。半割りにして種を取り除いて一晩くらい塩漬けにして、浅漬けとして食べるという。塩分濃度は2%と低めで、さっぱりとしてコリコリとした食感
 下漬けのあと、もう一度丁寧に種を取り除き、流水にさらして塩を抜く。白うりは実が締まっているせいか、塩抜きするのに2日かかるそうだ。この段階で塩分濃度は0%近くになるという。
 塩抜きした後、醤油とみりんを合わせた調味液(1番だれ)に2日、2番だれに2日漬けると完成する。
 「塩漬けから数えて3か月後に、桶を開けたときのべっこう色で、漬かり具合を判断します。黒っぽくなってしまうこともありますが、真っ青だった白うりが、べっこう色になって、発酵していい香りになっていると、うれしくなりますね」

べっこう色に漬けあがる「鉄砲漬け」

白うりの中身をくり貫いて水洗いする。うりの形に合わせながらくり貫くのは、熟練の技。
 鉄砲漬けの漬け方は独特だ。まず、収穫した白うりの両端を切り落とし、機械を使って中の種をくり貫く。機械化されたといっても、曲がったうりの形に合わせて、角度を調整しながらの手作業だ。
 中をくりぬいたあとは水洗いをして、大きな桶に並べて塩を振る。
全体で20%以上の塩分濃度で、重しをして4〜5日漬けると塩分は15%くらいになるそうだ。その後、さらに塩を振って、3か月以上、下漬けをする。
 「表面に酵母の白い膜が張って、空気から守るようになります。ポコポコとした音が鳴り、泡が出なくなったら漬けあがりの目安です。この発酵の音を聞くと、初夏を迎える気持ちになるんですよ」左/しそ巻き唐辛子を詰めるために、種の部分をくり貫く 中央/洗った白うりを桶に並べて、上から塩を振り、順に重ねていく 右/塩を振ったあとは重しを載せて4〜5日漬けて水分を出し、さらに塩を加えて3か月以上漬け込む。
親づるから子づるが伸び、その次の孫づるに実がつくように摘心していく  6年前にスタートした国産白うりの復活プロジェクトは、現在8軒の農家が取り組んでいる。定期的に勉強会を開いて、栽培技術のスキルアップも進めているという。農家の渡辺義行さんは栽培の工夫を教えてくれた。
 「4月に種をまいて、ポット苗をつくります。それを定植するのが5月中旬ごろ。株間は1mで、親づるから出る子づるを4本仕立てにして、2本の孫づるを残して摘心していますが、摘心しすぎても、株に勢いがなくなって、うまく育たないんですよ」
 収穫は6月中旬から8月中旬のお盆過ぎくらいまで。20cm以上の長さになり、500〜700gになったものを収穫する。ひとりで栽培できるのは5〜10アール程度の面積で、家族が2〜3人いれば20アールくらいできるそうだ。

国産の白うりを復活させたい!

路地栽培の畑もあるが、収穫時期に梅雨があるため、病虫害の影響も少ないハウス栽培が適しているそうだ。
 バブル時代(1980年代後半から1990年代初め)には、中国・タイ・フィリピン産のうりがたくさん輸入されるようになった。価格の点で国産うりは勝負できなくなり、しだいに生産者が減っていく。
 「外国の品種は、肉質が柔らかくて、本来の鉄砲漬けの食感はありませんでした。やがて原産地表示が義務づけされた
こともあり、国産の原料で復活させたいと思いました。でも、すでに栽培農家がいなかったんです」
 そんなときに、JA成田市から「国産の白うりで鉄砲漬けを作りませんか?」と打診があった。JAでは、中国の残留農薬の問題を受けて、地元で白うり栽培を復活させようと考えていた。
 けれども、栽培渡辺さんは「太陽に当たらないと白くなるので葉を取り除きますが、逆に露地栽培は葉に隠れるくらいがいい」と言う経験のある農家は、収穫の大変さや手間がかかることを知っているため、なかなか取り組んでくれない。収穫時期になると、朝に収穫して、また夕方にも収穫しなければいけない。取り残して大きくなったものはB級品で半値になってしまうのだ。
また最近では「成田ソラあんぱん」として、鉄砲漬けをトッピングに用いた甘じょっぱい「鉄砲漬けあんぱん」も登場。成田空港などで販売され、人気を博している。伝統の味を守る一方で、新しいアイディアの鉄砲漬けが広まっていくことを期待したい。

「鉄砲漬け」は白うりの姿が丸ごとパッケージされている。そのほかに刻んだものもある

中に入れる貴重な「しそ巻き唐辛子」

 白うりの中に入れる「しそ巻き唐辛子」は、青唐辛子をしそで巻いて塩漬けしたもの。ところが、国産の鉄砲漬けの生産が途絶えたときに、この中身を生産している人も少なくなっていた。
 「成田の人は、このしそ巻き唐辛子を酢漬けにして、漬物のようにして食べているんです。そのおかげで、酢漬けのものが細々と生産されていて、それを使って国産の鉄砲漬けを復活させることができました。でも、この
しそを巻いてくれる人がもう少なくて、70〜80歳の人たち8〜9軒が生産しているだけなんです」(沢田さん)
 昔は、田んぼが終わってからの冬仕事で、上手な人だと1時間に150本、普通の人で50本くらいしか巻けないという。
 「鉄砲漬けは家庭では漬けられておらず、嗜好品になりつつありますが、地元のもので作った千葉の名産品を守っていきたい」と沢田専務は語る。

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